暑くなってきたので、マカオにある怪談や心霊話を集めてみました。
マカオは小さな場所ですが、昔は集団墓地が多かったそうで、意外とたくさんの心霊話が伝えられています。
マカオ生まれマカオ育ちの夫が「聞いたことがない」というものも混じっていますので、信じるか信じないかは、あなた次第です。
- コタイ大通りに立つ女の霊
- 塔石広場に現れる霊
- 33番バスに現れる女学生の霊
- 橋に立ち続ける霊
- 国境へ向かう幽霊
- ギア要塞の幽霊
- ギア要塞防空壕の99階段
- セナド広場にあった死刑場
- 奴隷館の火災
- 食人街
- 聖ポール天主堂跡・隠し通路の霊
- 人肉饅頭の八仙飯店一家殺害事件
- コロアン島ハクサビーチのバラバラ死体
- マカオの怖い話
コタイ大通りに立つ女の霊
かつてコタイ大通りでは事故が多かったそうです。
多くのタクシーやバスの運転手が、女性の霊が手を振っているのを目撃しています。
埋め立てが進み、通りがコタイストリップと呼ばれるようになってからは、目撃情報は出ていません。
塔石広場に現れる霊
タップセック広場は、かつて集団墓地として利用されていた場所です。
この土地は陰の気が強く、時折幽霊が出ると噂になったため、マカオ政府はここを球場に作り変えました。
できるだけ日光に長時間当てることで、陰の気を散らすのが目的です。
それで球場が取り壊された現在も、さえぎるもののない広々とした空き地になっています。
33番バスに現れる女学生の霊
ある日、タイパの氹仔電訊(CTM前)バス停から1人の女子学生が乗って来た時、バス内が騒然としました。
ある人は狂ったように降車ベルを押し、ある人は神に拝むような仕草を見せました。
居合わせた人が何事かと振り返ると、学生には足がなかったと言います。
学生は運転席の近くに座席に陣どると、新世紀酒店前(現在の宋玉博士圓形地バス停あたり)で降り、11番のバスに乗り換えて行ったという話です。
2004年から2005年にかけて、タイパからマカオへ向かう33番のバス車内で、制服を着た女学生の霊が目撃されました。
目撃情報は10か月で33回にも渡り、逢魔が時と言われる夕方6時頃から夜11時頃にかけて集中しています。
橋に立ち続ける霊
マカオ半島とタイパ島を結ぶ3本の橋の内最も古い、中央の橋で30年ほど前に起きた事件です。
結婚式の当日に、橋の上で亡くなった1組の新婚夫婦がいました。
それから、橋の上で手招きをする霊を見たという話が後を絶ちません。
現在、一般の車はこの橋を通行できなくなっています。
国境へ向かう幽霊
昔、マカオ半島北部の国境関門から蓮峰廟のあたりまで、集団墓地がありました。
19世紀半ば、ポルトガル人が古い国境を取り壊し、現在のポルトガル風のゲートを建てました。
慈善団体がその際に出てきた骨を集めて、金色の塔を造りそこに保管していたのですが、国境警備に飽きたポルトガル兵がこの塔を射撃の的にしたため、骨は散乱し塔は全壊してしまいました。
ある晩、ポルトガル兵は明かりを持った大勢の人影が国境へ近づいていくのを見ました。
敵の夜襲かと思った兵士が発砲しましたが、そこには何もいなかったそうです。
地元の人によると、壊された骨の持ち主がポルトガル兵を恨めしく思い、霊の姿で出てきたのではないかと言われています。
ギア要塞の幽霊
1960~70年頃、警官たちが集まり、肝試しに線香を持ってギアの丘を1周しようという話になりました。
間もなくゴールというとき、後ろからやってくる大勢の足音を聞いたと言います。
警官が振り向くと、大勢の幽霊が線香を求めてこちらにやってくるのが見えました。
警官はあわてて線香を投げ捨てると、命からがら逃げだしました。
ギア要塞防空壕の99階段
ギア要塞には防空壕があり、その一部が開放されています。
実は、防空壕から要塞まで上る閉鎖された通路があり、ここに「99階段」と呼ばれる場所がありました。
ここには霊がひんぱんに現れるそうで、階段の数を数えていると誰かに肩に手を叩かれるとか、何者かの低い声を聞いた人はそこから出られなくなってしまうと言われています。
セナド広場にあった死刑場
1744年、中国人の商人を殺した罪で、ポルトガル人が絞首刑に処されました。
この刑場は現在セナド広場の營地街市のあたりにあり、中国人やポルトガル人が見物できるようになっていたそうです。
私の友人が5年前に夕暮れ時にセナド広場で撮った奇妙な写真を「心霊写真が撮れた!」とFacebookに上げたところ、「いっぱい映ってるよ、そこ心霊スポット?」と言われていました。
奴隷館の火災
聖ポール天主堂跡付近の古い街並みである長樓斜巷は、昔、奴隷の長屋が多い場所でした。
海外に売り飛ばすための奴隷を集めてきては、狭いところに大勢押し込めていたので、長屋は「猪仔屋(豚小屋)」と呼ばれていました。
ある晩、こうした長屋の1軒が火事になりました。
多くの奴隷は逃げ出すことができず、燃え盛る火の中で亡くなりました。
今でもこの場所では、夜になると大勢のすすり泣く声が聞こえることがあると言います。
食人街
戦時中、聖ポール天主堂近くの大關斜巷を歩いていた女性が、突如いなくなりました。
家族が必死で探しましたが、ぱったりと足取りが途絶えてしまったそうです。
当時は食糧難で飢える人が多かったので、太った人や子供が狙われ、人肉饅頭や人肉ステーキとして供されていると噂になりました。
聖ポール天主堂跡の近くの古い通りは、細く長く隠れるところが多かったので、誘拐事件がひんぱんに発生していたらしく、子を持つ親たちは日が落ちてからは子どもを外に出そうとはしませんでした。
聖ポール天主堂跡・隠し通路の霊
聖ポール天主堂には、隠し通路があったというお話をご存じですか?
キリスト教の布教を快く思わないものが放火や襲撃をすることを恐れて、聖ポール天主堂から向かって右手のモンテの砦へ1本、向かって左手の關前後街近くの李家圍まで1本、隠し通路が作られたと言います。
この李家圍周辺の住宅に住んでいる家族がおり、幼い子どもが夜中誰かと話しているようでした。
おばあさんが誰と話しているのかと聞くと、子どもは不思議な「おじさん」の話を始めました。
初めは退屈した子どもの作り話だろうと思っていたのですが、息子がベッドの下にもぐりこんだのを見た父親が、隠し通路を見つけました。
息子は真っ暗な通路を駆け出し、「おじさん、会いに来たよ!」と言ったそうです。
そこで父親は、微笑んですうっと消えていく西洋人の幽霊を見ました。
警察による捜査の後、非常時に逃げ込んだ神父が通路の老朽化のため閉じ込められてしまい、そこで餓死したことがわかったそうです。
現在ではこの隠し通路は封鎖されてしまい、こういった不思議な話を聞くことはなくなりました。
人肉饅頭の八仙飯店一家殺害事件
一番怖いのは人間ということで、マカオで実際に合った殺人事件のお話です。
香港では、アンソニー・ウォン主演の「八仙飯店之人肉饅頭」という映画が作られました。
私も大学生の頃に見て、トラウマになった映画です。
事件が起きたのは1985年、マカオ半島北部の中華料理店「八仙飯店」のオーナー家族9名と、従業員1名が殺害されました。
被害者の年齢は7歳から70歳にまで及びます。
犯人は、賭け事に負けて18万MOP(現在のレートで約240万円)の負債を負った店主が、しらを切り続けて一切お金を払おうとしなかったため、激昂してお店のキッチンで彼らを殺害したことを認めています。
犯人は店主に成り代わり、お店でチャーシューなど広東料理名物の焼味を提供していました。
当時夏場だったにも関わらず、周辺で腐臭を訴えるものはいなかったため、町の人は「人肉で作ったチャーシューまんをお店で出していたに違いない」と噂しました。
現在、八仙飯店のあった場所にはザ・ヴィク〇リア・ホテルが建っています。
この作品で鬼気迫る怪演を見せて、香港アカデミー賞(香港電影金像奨)で主演男優賞を受賞したアンソニー・ウォンさんは、6月に公開された「黒い家」の香港版リメイク「死因無可疑/LEGALLY DECLARED DEAD」でも、牛刀片手に出演しています。
コロアン島ハクサビーチのバラバラ死体
1985年8月8日、コロアン島南部のハクサビーチに、バラバラにされた手足が8つ流れ着いたのを、海水浴客が発見しました。
2日後には野犬が人の手首をかじっているのが発見され、3日後には警察と海水浴客が手足をそれぞれ発見しました。
捜査の結果、八仙飯店の事件が発覚し、解決の糸口となったそうです。
こういった経緯から、ハクサビーチでは毎年誰かが連れていかれる、と言われています。
マカオの怖い話
以前、世界遺産30か所めぐりのご案内をした際に「私霊感が強いから、教会には入れないの。ごめんね」と言って途中でリタイアされたお客さんがおられました。
マカオの世界遺産は教会が多いですからね・・・。
たった1度だけ、ベネ〇アンホテルに宿泊したお客さんから「出たのですぐに部屋を移動したい」と電話を受けたことがあります。
あいにく風邪で声が出なく、詳細を聞き逃したのが悔やまれます。
今では出ると言われる場所はほとんど封鎖され、目撃情報や怪異もほとんど聞きません。
でも確かにちょっと不安になるような場所や、夏でもどこかひんやりとした場所が存在するのは確かです。
マカオのよもやま話は、こちらの「マカオで道草」が面白くておすすめです。
歴史や風水の話に始まり、八仙飯店事件の詳細や、当時の新聞の写真、犯人のその後などについても詳しく述べてあります。
マカオのガイドブックは地球の歩き方 マカオ 2018~2019がおすすめです。
地図が素晴らしく、今回お話した場所もしっかり載っています。
以下におすすめのマカオ旅行本を紹介しておきます。
マカオ行ったらこれ食べよう!: 地元っ子、旅のリピーターに聞きました。
CREA Traveller Autumn 2019 (新しさと懐かしさと 香港・マカオ)