狭いマカオには珍しい大きなお屋敷「鄭家屋敷」は、近代中国の思想家・鄭観応の住居でした。
東西の様式を垣根なく取り入れた、美しくぜいたくな建築は、かつての文豪の暮らしぶりを今に伝えています。
鄭観応資料館が新設され、見どころが増えた鄭家屋敷の魅力を、マカオガイドが紹介します。
※情報は2020年3月現在のものです。
鄭家屋敷のおすすめポイント
広々とした敷地と、ドアに施された美しい彫刻や内装の再現などが見どころです。
建物が荒れ果てていた頃から、大規模な改装後に現在の姿を取り戻すまでの様子を、パネルに展示してあります。
2001年に政府が買い取るまで、ここには50世帯の家族が住んでいたそうですよ。
メイドインマカオのグッズや書籍を集めたお土産屋さんが入口にありますので、チェックしてみてください。
マカオらしいものや、興味を引く面白いものに出会えるかもしれません。
2010年にオープンした建物なので、トイレが新しくキレイなところもおすすめしたいポイントです。
周辺にはきれいな公衆トイレがないので、トイレ休憩のポイントとして押さえておきましょう。
趣深いフォトジェニックスポット
立派なお屋敷は写真映えもバッチリです。ぜひチェックしたいおすすめスポットを紹介します。
あまり混み合わない穴場の世界遺産なのも、鄭家屋敷をおすすめしたいポイントです。
その他おすすめのフォトジェニック世界遺産については、こちらの記事をご覧ください。
カラフルな彩りに夢中!マカオの世界遺産おすすめ写真スポット6選
入口の円窓は外せない
入口を入ってすぐの円窓は、向かい側にのぞく装飾とマッチして、記念写真ポイントにもぴったり。
遠くから奥行きをいかした写真を撮るのもいいですし、円窓の近くから円形や装飾をいかして撮影するのもいいですね。
建物の奥に隠された通路
建物の奥に進んでいくと、ヤシの木が生い茂った、趣のある通路が現れます。
光の加減によっても雰囲気が変わるので、晴れた日や曇りの日、午前中や午後、夕方など、天気や時間帯で違う表情の写真が撮れるのが面白い撮影スポットです。
風水を取り入れた建築デザイン
マカオのお金持ちの自宅の例に漏れず、ここにも風水を取り入れた建築デザインを見ることができます。
意外なポイントに、お金と幸せを呼び込むポイントが隠されているのが、面白いですよ。
ご自宅にアイデアを取り入れてみてはいかがでしょうか。
マカオのその他の風水建築については、こちらの記事をご覧ください。
金運を呼び込む中庭
中庭は、風水で金運をアップさせるポイントの1つです。
風水で水はお金を表し、雨は天からお金が降ってくることを暗示しています。
恵みの雨、と言いますよね。
つまり「家に雨が降り込んでくる」ことを「家にお金が入ってくることと」と捉え、金運を呼び込む中庭を作りました。
この大きな中庭には、ギンモクセイ(桂花、木犀)の木が植えられています。
風水の「いい香りのするところにいい運気が流れる」という考え方に基づいた造園です。
マカオは暖かいので、日本と違って年に数回花が咲き、その度にいい香りを漂わせています。
うっとりするような花の香りに出会えれば、タイミングばっちり。
ラッキーです。
また真珠貝の窓は、美しい輝きが金運を引き寄せます。
足元に目を落とすと、丸に十字のマークのお金をモチーフにした排水口を見つけられます。
小さなこだわりが感じられて、とても好きです。
家族円満を表す円窓
円窓は、家族円満、夫婦円満を表します。
写真撮影にもぴったりな円形の窓は、デザイン的に美しいだけでなく、家族愛と幸せを願う思いが込められているんですね。
東西ミックスのマカオらしい建築
鄭家屋敷は、後に上海や香港、広州でも流行したおしゃれ建築のはしりでした。
中国建築に西洋の内装や装飾を取り入れた様式で、19世紀に建てられました。
日本は明治時代、中国は清の時代です。
伝統的華北建築の特徴
中庭を母屋と使用人部屋、人力車庫が囲む広々設計は、中国北部地方の伝統的な建築様式です。
小さなマカオには不似合いなほど立派なお屋敷は、総面積4,000㎡で東西は120mもの広さがあります。
さりげなく井戸がありますが、海に囲まれたマカオで真水はとても貴重でした。
インドや西洋の様式を取り入れたデザイン
インドの様式を取り入れた真珠貝の窓は、見た目に美しい上、湿気に強く、高温多湿なマカオの気候に適しています。
中国風の格子窓の窓枠の組み合わせが、ユニークでマカオらしい意匠です。
灰色レンガの外壁はヨーロッパ風で、東西文化の融合を表しています。
鄭観応資料館で学ぼう
中国では有名な文豪である「鄭観応(てい・かんおう)」ですが、日本人で知っている人は多くないと思います。
私も、マカオに来て初めて聞きました。
実は鄭観応は、孫文や毛沢東に影響を与えたと言われる近代中国の思想家で、「盛世危言」という著書が有名です。
ちなみに鄭家屋敷は、鄭観応のお父さんが建てました。
彼の著書に関する資料が置いてある資料館が敷地内にあります。
興味があったら、のぞいてみてください。
夏場のクールダウンにも最適です。
アクセス・行き方
媽閣廟やセナド広場から、徒歩圏内です。
マンダリンハウス周辺の観光情報はこちらの記事をご覧ください。
マカオガイド直伝!世界遺産制覇の最も効率的な回り方モデルコース・前編
徒歩で
媽閣廟から徒歩10分弱。
媽閣廟裏手にある「万里の長城」というゆるい上り坂を道なりに上ったところにあります。
途中には右手に港務局ビル、リラウ広場があり、鄭家屋敷はリラウ広場のちょうど向かい側に当たる左手です。
入口は一歩入ったところにあります。
リラウ広場手前は1人ずつしか歩けないくらい道が細いところがあり、バスや車が頻繁に通りますので気をつけてください。
港務局ビルから徒歩5分
リラウ広場正面
聖ローレンス教会から徒歩5分
正面ファサード前の細い道を学校側に沿ってゆるく下っていくと、右手にあります。
入口は一歩横道に入りますので、見逃して通り過ぎないよう注意しましょう。
左手にリラウ広場があり、パッと目の前が開けるのが到着の合図です。
聖ジョセフ修道院および聖堂から徒歩10分弱
聖オーガスティン教会から徒歩10分弱
セナド広場から徒歩15分弱
施設情報
鄭家屋敷
鄭家大屋
住所:澳門龍頭左巷10號
開放時間:10:00~18:00(最終入館17:30)
定休日:水曜日
入場無料
美しい鄭家屋敷をゆっくり観光しよう
鄭家屋敷は、中庭から建物の内部や裏側、別館までじっくり楽しみたいとっておきの穴場スポットです。
写真映えのする美しい建築は、いつまでも眺めていたくなるような風情があります。
世界遺産好きや歴史好き、建物好き、写真好きの方には特におすすめです。
ぜひ時間を取って、ゆっくり流れる時間を感じてみてください。